開発の分野では参加型コミュニティ開発や社会的なつながりに配慮したアプローチなど、インクルーシブな視点が重要視されています。私は国内外で特別支援学校の教員を長年経験したので、“インクルーシブ”はとても関心のあるワードです。
平和構築や緊急人道支援の現場でもそのような視点が広がっていることを感じる今日この頃。
戦争/紛争、災害の影響を大きく受けやすい女性、障害者、高齢者を、被害者と捉えるのではなく、活動の主体と捉える動きが進んでいます。
女性に関しては、国連が安保理決議第1325号(2000年)及び9本の関連決議履行をし、紛争の予防・解決・平和構築・平和維持のあらゆるレベルにおいて女性を「積極的主体」と位置づけています。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000023403.pdf
国連は加盟国に対して女性・平和・安全保障に関する「行動計画」の策定・実施を求めており、2019年4月時点で79ヵ国が策定しています。女性を取り巻く環境は国によって異なります。女性の社会的・文化的制限が多いアフガニスタンでは、司法制度における女性の役割強化が目標と掲げられているなど、行動計画には各国の状況が反映されていて興味深いです。
https://www.securitywomen.org/united-nations/unscr-1325-and-national-action-plans-nap
障害者、高齢者に関しては、人道支援の必須基準(CHS)の関連資料に
「Humanitarian inclusion standards for older people and people with disabilities」があり、
支援における障害者・高齢者の参加や、支援に対するフィードバックや苦情の聞き取り手順などがまとめられていて、平常時でも活用できる視点が多いです。
https://www.helpage.org/newsroom/latest-news/new-humanitarian-guidelines-launched-for-ageing-and-disability-inclusion/
実際の現場では難しいこともありますが、これらの視点を意識し、少しでも活動に取り込もうとする姿勢が私たちに求められているのではと、自戒の念を込めて感じています。精進しないとですね。
2020年5月28日
田島賢侍
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