COVID-19に関して米中対立が注目されています。あまり報道はされていませんが、中国はインドとの間で軍事衝突が発生しています。それも肉弾戦で。
現代の戦争・紛争には大小様々な銃火器が使われ、一説によると、最も多くの人を殺した兵器はAK-47(カラシニコフ)だと言われるほど、銃火器による殺傷は戦闘では一般的です。
6月15日前後に、インドと中国の係争地であるヒマラヤ地域で、両国軍が衝突し、双方数十人の死傷者を出ました。これは両国の係争地における対立において1967年以降で最悪であり、衝突で死者が出たのは1975年以来だそうです。
ただ、ヒマラヤの係争地域では火器を使用しないという合意が両軍にあり、今回の衝突でも双方から火気使用報告はありません。銃器の代わりに、石や釘を埋め込んだこん棒などの鈍器を使用したり、殴り合ったりして谷に落とすなどの方法で、多く兵士が亡くなったそうです。
今回の衝突との直接的な関係は不明だそうですが、中国メディアによれば、6月上旬に係争地付近に登山家や格闘家らを軍人として配属させていたそうです。
両国は核を保有するのみでなく、最新式の兵器を有する国です。本件は、このような国の兵士同士が肉弾戦で多数犠牲者を出した非常に稀なケースです。
今回の衝突に対しては両国が報復を宣言しており、中国の出方次第ではパキスタンとインド間の関係にも大きな影響を与えそうです。日本では認知度が低いニュースですが、引き続き注視する必要があります。
7月1日に国連安保理は世界的な即時停戦を求める決議を全会一致で採択しました。今後各国で本決議が遵守されることを期待し、対応を注意深くモニタリングしていきたいです。
<参考資料>
【India-China clash: 20 Indian troops killed in Ladakh fighting】
https://www.bbc.com/news/world-asia-53061476
【拳・石・こん棒、ヒマラヤ高地のローテクな戦い 中印衝突】
https://www.afpbb.com/articles/-/3289002
【中国軍、総合格闘家を部隊に配属 インド軍との衝突直前に 報道】
https://www.afpbb.com/articles/-/3290758?cx_part=top_category&cx_position=4
【Stalled Security Council resolution adopted, backing UN’s global humanitarian ceasefire call】
https://news.un.org/en/story/2020/07/1067552
【コロナで停戦決議採択 米中対立し調整難航―国連安保理】
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020070200198&g=int
2020年7月5日
田島賢侍
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