突然ですが、“スケープゴート”という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
今回は書籍「紛争と和解を考える 第1章拡散する敵意」より、
スケープゴートの発生メカニズムについてお伝えし、
次回以降、スケープゴートを悪化させるもの、予防・軽減させる方法についてもご紹介したいと思います。
“スケープゴート”の言葉の由来は、旧約聖書において、
「人々の罪を背負わされ、荒野に追いやられたヤギ」とされます。
そこから派生し、“スケープゴート”は、他者の罪をかぶった「汚れ者」というニュアンスをもち、
自分の中の忌まわしく、邪悪で、恥ずかしい思考や感情を、
他者や他国に押してつけて、自分やその周りのものを正当化しようとする気持ち・心理に用いられます。
スケープゴートの対象となりやすいのは、
道徳観の回復や不安を低減させ、自尊心回復に適した対象とされます。
具体的には、以下の人たちです。
① 多数者から嫌悪感を持たれている異質者・異端者
② 攻撃しても安全な対象(マイノリティや弱者、過去において強者であった者、反撃が封じられている強者、不祥事を起こした金持ち・成功者・大企業など)
③ 人が「自分たちとは違う人たち」と認知する外集団成員(単に同一集団に属しているだけでも、集団外の者を異質と感じる)
このスケープゴートは紛争影響地域に限らず、多くの国・地域、
もしかしたら皆さんの学校や職場でも思い当たる節があるのではないでしょうか。
このスケープゴートの存在は和解や協調、インクルーシブな社会において障壁となり得るものです。
次回は、スケープゴートを悪化させるものについて同書より紹介したいと思います。
2021年5月31日
田島賢侍
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