前回のコラムではスケープゴートの発生メカニズムとその情報伝達について触れました。
【発生メカニズム】
【情報伝達】
今回も書籍「紛争と和解を考える 第1章拡散する敵意」より、
スケープゴーティング現象を軽減・回避する4つの方法についてご紹介したいと思います。
<その①:メカニズムを理解>
軽減・回避策の一つ目は、スケープゴートの発生メカニズムやその情報伝達を理解することです。
これらを理解することで、自分自身がスケープゴーティングに陥りそうになった場合に、
感情をコントロールし、適切に対応できる可能性が高まります。
<その②:無意識の意識化>
スケープゴート発生には、普段意識していない欲望や、社会に溢れている欲求不満がかかわっています。
また、その欲望や欲求不満が、投影や置き換えといった無意識の心理メカニズムにより、
スケープゴートの対象者・グループに向けられることで、スケープゴーティング現象につながります。
このような”普段意識しない”、つまり無意識の社会情勢や心理状況を”意識する”ことが、
効果的な軽減・回避につながります。
<その③:多様な視点の保持>
一つの視点だけで物事を理解しようとすると、他の視点を排除することになり、
スケープゴーティング現象を促進させます。
自分の視点は多様な考えの一つであることに気がつき、
他者の視点に身を置いて共感的に理解する姿勢をもつ、
また自分の考えを否定する考えでも同じ視点で判断するということも重要な方策です。
<その④:柔軟な思考>
多様な視点の保持(その③)に加え、自分の知識の限界に気がつくことや、
これまで考えなかったことを考えようとする姿勢、
自分の考えを疑う態度、自分の感情とは関係なしに評価を行うといった、
柔軟な思考パターンもスケープゴーティング現象の軽減・回避に有効です。
以上、4つの方策はいかがでしたでしょうか。
自分自身が常に実践できるかというと難しい点もあるかと思います。
私たち自身がこれらの態度・思考を理解し、
ちょっと自分の中で“嫌な感情”が他者に向かって生じた場合に思い出すと良いかもしれません。
また、これらの手法を私たちがかかわっている平和構築の現場で応用し、
現地の紛争予防や和解促進に少しでも役立たせられれば良いかと思います。
皆さんが経験した好事例などがあれば是非メールで教えてください!
projectpeace-exectivecommittee@googlegroups.com
2021年6月9日
田島賢侍
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