「人間を戦争という くびき から解き放つことはできるのか?」
物理学の天才アインシュタインが、精神分析の開拓者フロイトに問いたテーマです。
1932年に国際連盟がアインシュタインに対し、
「今の文明においてもっとも大事だと思われる事柄について書簡を交わして欲しい」と依頼し、
彼はフロイトを指名し書簡を交わしました。
その後の世界的な混乱から、書簡は一往復のやり取りで終わり、本書は、この書簡をまとめたものです。
【アインシュタインからの問い】
数世紀の間、多くの人が国際平和を望んでいるが訪れない。
これは人間には憎悪にかられ、相手を絶滅させようとする欲求が本来的に潜んでいるのではないか?
そして、人間の心を憎悪と破壊という心の病に侵されないようにすることはできるか?
【フロイトの回答】
破壊欲動は「死の欲動」であり、それに対する「生への欲動」を呼び覚ますこと、
つまり、人と人の間の感情と心の絆を作り上げることで戦争を阻むことができるのではないか。
そして、文化を発展させることで知性を強められる。
力が増した知性は欲動をコントロールし、戦争の終焉へ向けて歩みだすことができる。
『文化を発展させ、人と人との心の絆を作り上げる』、興味深い回答です。
ICTの普及、国際化する世界、新型コロナウィルスなど、人と人の関係が急激に変化する現代だからこそ、
改めて平和構築の文脈をとらえた文化の醸成、人の “気持ち”に焦点を当てる取り組み重要ではないかと感じます。
「ひとはなぜ戦争をするのか」(講談社学術文庫)
アルバート アインシュタイン、ジグムント フロイト (著)、 浅見 昇吾 (翻訳)
www.amazon.co.jp/dp/4062923688
2020年8月3日
田島賢侍
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