赤尾邦和さん(イラクから平和構築の大事さを感じ)

<キャリア概要>

国際移住機関(International Organization for Migration: IOM)シエラレオネ事務所プロジェクトマネージャー

日本IBMビジネスコンサルタントとして5年働いたのち、東京大学公共政策大学院に進学。東京本部、スーダン事務所でのJICA(国際協力機構)の活動を経て2016年にIOMに加入。シエラレオネでポストエボラ事業、ディアスポラ活用した国造り事業、洪水被災者の生活向上や職業訓練や仕事の斡旋、起業などの仕組みづくりに取り組んでいる。また、2020年からはCOVID-19対応プロジェクトもリードし、国境(空港・陸路)の再開支援やコミュニティへの啓蒙活動事業も行っている。



① 平和構築に興味を持ったきっかけは何ですか?

2003年に戦争前後のイラクに訪問したことがきっかけです。当時は大学生でしたが、戦争というものが社会を物理的だけでなく、精神的にも社会的にも大きく変えてしまうという事実を直接現地で感じました。当時、本を書いたり講演活動などは行いましたが現地に貢献は出来てないと感じ、直接現場で貢献できる仕事につきたいと考えました。



② どのように平和構築に関わっていますか?

現在はIOMで若者の雇用機会を作るための職業訓練・起業支援事業のプロジェクトマネージャー(総括)として活動しています。若者が非正規移民としてサハラ砂漠を超えて地中海を渡るのですが、その際に人身売買や不当な扱いをされる方が多くおり、その根本課題であるシエラレオネの雇用問題の改善に取り組んでいます。



③ 平和構築の醍醐味は何ですか?

平和というものは日々の積み重ねで作るものですが、一方で平和は一瞬で崩れてしまいうる脆いものと感じます。以前JICAで南スーダンの仕事をしていました。JICAを含め多くの国内・国際パートナーが平和のために努力をしても、2013年12月の内戦は始まってしまい、無力感を感じたことがあります。そういう難しさ、儚さがあるからこそ、頑張る必要性を感じます。



④ 平和構築の難しさは何ですか?

平和構築プロジェクトの直接的な活動と平和という成果に結びつける相関が他のセクターのプロジェクトより直接的でないと感じます。例えば保健指標を上げるための活動は医療従事者へのトレーニングや医療施設の強化などある程度明確ですが(もちろん大変ですが)、平和構築にはこれをすれば平和に繋がるという明確な活動が他のセクターほど相関が強くなく、プロジェクト目標が遠く感じる時があります。



⑤ 今の仕事をする上で、身につけておいて良かったと思うスキルや経験は何ですか?

JICA本部で働いた経験はかなり現在の仕事に役に立っていると感じています。国際機関の国事務所で国際スタッフとして必要なスキルはFundを取ってプロジェクトを作っていくことだろうと思います。私はIOMシエラレオネにいる4年で5つの新規プロジェクトを作る事ができましたが、それは日本の外務省を始めとする方々がどんなプロジェクトに関心があるか、どういう情報が現場から知りたいのかということをある程度JICA本部にいたときに理解出来たため、案件形成にプラスに働いたと考えます。



⑥ 実はこんな趣味ですというのはありますか?

民間連携事業を作るのが趣味といえるかもしれません。現在のシエラレオネの仕事の中で8社と何らかの接点を持った業務を作りました。同じ業界の知見だけでなく新しい視座やサービスを取り入れることで事業がより面白くなると信じて、可能性があるところには積極的に声をかけながら可能性を模索しています。 



⑦ 最後に、今後の夢・目的は何ですか?

この業界に来たきっかけが大学生の時に訪れたイラクで、多くのイラクの友人にお世話になった実感しています。日本から来た私に優しく接して頂き、いざ戦争が始まる直前には、私を心配して帰国を手伝ってくれました。私が特に大きなことはできませんが、少しでも今までの経験を活かしイラクに戻って恩返しをしたいなと考えています。 


▼シエラレオネにおいて廃棄物収集事業を通じて若者に仕事を与える活動も行っています。写真は収集のための三輪車の供与式での若者との写真。

#Project ぴ~す

平和構築を志す人と人をつなげ、AttractiveでInnovativeな平和構築アクションを創案・推進する研究会

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